最近の読書。

最近、読書の速度が大幅に落ちてるなあ。
まあ、原因は明らかなんだけど(笑)。


著者は久留米の戦車第1連隊の小・中隊長としてビルマ・マレー・シンガポールを中心に太平洋戦争に従軍した方です。
これは、著者の実体験を元にした戦記です。
しかし、一般の戦記と違ってどちらかと言うならエッセイに近い、肩肘張らずに読める内容でした。
内容は、おそらくは日本軍の戦車部隊が最も栄光に満ちていたであろう太平洋戦争初期がメインです。
印象に残ったのは、ビルマで対戦したイギリス軍の、「M3スチュアート軽戦車」*1の描写ですね。
この時、著者が搭乗していたのは、「チハ車」こと「97式中戦車」*2なのですが、チハの短砲身57ミリカノン砲徹甲弾ではM3の装甲を貫通できないのです。
で、遺棄車両を用いた実験の結果、指示された対処法がこちら。

  1. M3軽戦車に対しては、数的優位を確保する。
  2. 戦力の一部を持って、敵を誘引あるいは拘束し戦車主力は側面を攻撃する。
  3. 彼我の距離が300メートル以下となったら小隊単位での榴弾*3による集中射によりこれを攻撃する。

・・・えーっと、相手はどこのティーガー戦車ですか?
一応、ある程度は知っていましたが、日本軍の戦車ってこんなにも非力だったのね・・・。_| ̄|○  
あと、かの有名人、つじーんこと、「辻政信」*4参謀とも著者は対面しています。
その書かれ方がまた、(・3・)びみょー。
多分、著者は辻参謀をそれほど嫌いではないのだと思いますが、戦後の評価*5も無視できない、そんな書かれ方でした。
まあ、辻参謀は現場の、特に下級の兵士からは人気があったといいますから、納得はできます。*6

*1:下手すると同時期の中戦車よりも頑丈なんですがね。

*2:登場当初はともかく、その後はその非力な火力と薄い装甲に鳴かされた戦車です。2chの軍事板では「燃え」ではなく「萌え」の対象になっています。理由は察してください(泣)。

*3:スチュアートの装甲を徹甲弾では貫通できない為、榴弾での装甲の破砕を目的としているのです。

*4:「作戦の神様」とも「無責任なる日本陸軍参謀達の典型」とも呼ばれる人物です。能力はともかく、人間的に相当に問題があった人物らしく、嫌っている人は蛇蝎のごとく嫌っています。

*5:ネガティブな評価が一般的です。

*6:一般に参謀は前線には出てきません。そのため、兵士からは「現場の苦労を知らないで無茶ばかり押し付ける」と嫌われています。しかし、辻参謀はよく最前線に出た為、兵士からは人気があったといいます。ガダルカナルでも前線で苦境を味わっています。もっとも、その苦境を作り上げた張本人の一人でもあるわけなんですが。